ケロケロぴーの未知標パート2

家主ケロケロぴーの思い出し思い出しの日記です。

本『李陵』中島敦

 齋藤孝氏の「音読破」シリーズ『山月記』の中の『李陵』を読みました。以前、『山月記』を読んだとき、ものすごくこんな風に私も話を書けたら……と思いましたが、『李陵』は数段、今度はストーリーの構成にも感心しました。
 実は、何年も前、とある先生に「あなたは漢文を読んでいただけあって、文が簡潔だ。それは、とてもいいことだから」と言われたことがありました。大学の専攻で、確かに漢文というか昔の中国の資料を読んでいたので、多少普通の人より漢文に触れていましたが、学生の時、ホントに勉強してなかったので、あれだけで、漢文を読んでいたことになるのだろうかと思っていましたが、今回、『李陵』を音読してみて、こんな文章、物語を書けたらと強く思いました。そのくらい、(普通の人には読みにくいでしょうが)漢文調の文章の虜になっていたのです。
 『李陵』の分量はそんなに多くありません。きっと、現代の作家が書けば、一冊分の本の分量になるでしょう。でも、中島敦は、そうではありませんでした。それは、中島敦が長編を書く前に、早世してしまったからなのかもしれません。それとも、『李陵』に出てくる司馬遷のように、人物を「作る」ことを避け、「述べる」ことにとどめていたのかもしれません。私も歴史の話を書くときは、人物を「作る」事をしたくないので、どうも、話を長く書くことができません。そんな中島敦の姿勢に共感したから読みやすかったのかもしれません。
 『音読破』シリーズには、齋藤孝氏が読みやすいようにカナや意味などが文章の横に書かれています。迷わず、すっと読み通せるようになっているのですが、『李陵』はについては「この作品も難しい漢字が多くて戸惑ってしまうかもしれませんが、人や国の名前、役職名や地名などは、あまり気にしないで読んでいけば…」と齋藤氏の解説にありますが、「?」と思う単語や、つい、自分でかぎ括弧を追加して書き込んだり(自分で購入した本ですよ、もちろん)して、登場する名前をチェックしながら、行きつ戻りつしながらでしたが、時々黙読になりながら読みました。(地図も探して、横に置きながら読みたかったです)
 学生の頃、あんまり勉強していないとはいえ、一番、身につけたことは、一文字一文字の意味を大切にということ。漢字一つ、意味を間違えると、文章を読み間違えるということで、文字を丁寧に調べていくことを学びました。『李陵』を読みながら、齋藤氏に申し訳ないのですが、何箇所か、「この意味でいいのか」という所や、自分で調べたい字が出てきて、手元に『大漢和(確か全13巻の漢和字典です。索引だけで一冊分あります。各一冊広辞苑一冊分くらいの分量なのです)』があったら……と思ってしまいました。やはり、ほんの少し、私の中に漢文を読んだ記憶が残っているのでしょう。
 『李陵』を読んでいると、中島敦の漢文と歴史の素養にあふれていて、「中島敦ってステキ!」とミーハーな気持ちになってしまうのです。そう思っていたら、私の文章をほめてもらえたことも(簡潔な部分はほめてくださいましたが、表現力は下手だなと言われていました)、ものすごくうれしいことになりました。
 

コメント

はじめまして

こんにちは。
私も中島敦は中国の古典を題材にしているのが多いので
とても好きです。「名人伝」なんか特に(^^)
淡々と進んでく感じで読みやすい気がしていたのですが、
なるほど漢文調の文章だから簡潔でテンポが良いのですね。

  • 2006/11/23(木) 10:46:57 |
  • URL |
  • dodo #-
  • [ 編集]

こんにちは、dodoさま

 自分のページなのに、こまめに見ていないので、コメントに気づくのが遅くなりました。いらっしゃいませ。
 最近は、高校でも漢文はほんの少ししかテストにでないという理由で漢文をやらないそうですが、漢文をやっていると、語彙も増えるし、日本語にも深みがでるそうなので、是非、もっと取り上げて欲しいものです。皇太子さまの帝王学とか経済界の方の塾とかにも、論語やその他の漢籍が入っているのに。
 先日、基礎からやり直そうと、高校生用の漢文テキストを買ってきてしまいました。

  • 2006/11/27(月) 22:32:38 |
  • URL |
  • ケロケロぴー #1UfF.XRY
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